御坊市は庁舎内業務の効率化を図ろうと、話題の対話型AI(人工知能)サービス「チャットGPT」を使った生成AIの導入を検討している。先月5日から今月4日まで全職員を対象に実施した実証実験では文書作成や情報検索に活用し、「仕事の効率が上がる」の回答が8割にのぼるなど、利便性は確認済み。本格導入するとなれば来年度の予算計上を視野に入れている。

 チャットGPTは高度なAI技術で人間のように自然な会話ができる無料サービスで、昨年11月に公開され、生成した文章の見事さや人間味のある回答が注目を集めている。情報漏えいや誤情報、著作権侵害の問題もあるが、全国的に自治体での活用も模索。県内では和歌山市が今月2日、利用のガイドラインを定めたうえで職員が利用。県もすでに職員に使用上の注意を通知し、簡単なあいさつ原稿の作成などに活用している。

 御坊市はチャットGPTを使って専門業者シフトプラスが独自開発した生成AIで実証実験。地方公共団体の相互ネットワーク「LGWAN」の中でのみ使えるサービスで、AIに新たな学習能力はなく、情報漏えいの危険性は少ないという。市は使用用途について庁内や市民向けの文書作成や国の通知を分かりやすい言葉に要約、新たなアイデア発想などに限定することとし、個人情報や機密情報を含めた質問と、生成した文書をそのまま利用することを禁止。情報をうのみにせず、あくまで参考情報、たたき台として活用するなどの指針をまとめている。

 利用者のアンケート調査では「今後も利用したい」が86%で圧倒的に多く、「利用したくない」は5%。「仕事の効率が上がると思うか」との質問には、「大幅に上がる」と「上がる」を合わせて79%。一方で「回答の精度向上」を望む人が72%もいた。総務課情報化推進室では「もう一度、実証実験をし、来年度に本格導入するかどうか、秋にも結論を出したい」と話している。