2002年1月、米国マサチューセッツ州ボストンの新聞社が信じられない記事を掲載した。地元のカトリック教会の神父十数人が少年への性的虐待を繰り返し、教会が組織ぐるみで隠ぺいしていたという。

 記者は断片的な情報をつかみつつも中途半端な記事でお茶を濁していたが、新しい編集局長の着任を機に、本腰を入れて調査・取材に乗り出した。結果、1000人以上が被害を受けていたことが明らかになった。

 21年後のいま、同じく少年への性的加害が日本で大きなニュースとなっている。アイドル事務所の創業者が40年以上にわたり、所属タレントにセクハラを繰り返し、被害者は少なく見積もっても数百人に上るという。

 問題の創業者は4年前、87歳で死去。今年3月、英国BBCがドキュメンタリーを放送したのを機に、被害を受けたという元所属タレントらが名乗りを上げ、外部専門家による再発防止特別チームが調査を行い、先日、報告書を公表した。

 特別チームは、問題の根本原因は創業者の性嗜好異常にあるとし、経営実務を担当していた創業者の姉(故人)が事実を隠し続けていたことで被害が拡大したと指摘。同族経営の弊害をなくすため、現社長の辞任を求めた。

 米国の神父による事件も、日本の芸能事務所の事件も、被害者の多くは10代の少年。子どもたちにとって教会の神父は文字通りの神、事務所のトップも自分の夢を追ううえで神のような存在で、恐怖と恥ずかしさ、拒絶すれば道が断たれると思い抵抗できなかった。

 アイドルを目指す少年少女だけでなく、人の純粋な夢や希望を食い物にするワルは多い。この社会の異常さを感じるニュース、国民も笑って流してはいけない。(静)