地震・津波の防災対策としてみなべ町は今年度から、堺地区に避難路と避難施設を新設する計画を進めている。堺地区は津波避難困難地域に指定されていないが、海岸線に住宅が密集し、津波浸水の被害を大きく受けるエリア。住民らがより安全、安心、スムーズに逃げることができる広い避難路と、一定期間過ごせる施設の整備が急務となっている。

 同町の海岸線では気佐藤の津波避難センターや北道の南部小学校、芝の南部高校などの避難場所があり、埴田地内では2025年度の完成を目指して埴田医王寺避難道路整備事業も進められている。堺地区は裏山の高台など一時的に避難できる場所が複数あるが、国道42号沿いの住宅密集地などは海抜が3~5㍍で津波浸水区域となっており、住宅への被害が予想されている。地元住民や議員から避難路と避難施設の要望が出ており、職員でつくる二子の里高台移転プロジェクトチーム(おととし2月設置)でも、避難施設が必要との方針を打ち出している。

 計画によると、避難路は堺地区構造改善センター東200㍍、国道42号と平行に走る町道埴田堺線を起点に北に向かって雑木や梅畑などとなっている山の斜面に新設。延長300㍍、2車線と歩道合わせた幅員9・25㍍の舗装した道路となる。町は今年5月、地元区での説明会を開いており、今秋には2000万円かけて測量・設計を行っていく。計画エリアの用地はほとんどが個人所有で、来年度は用地交渉を進める。着工、完成時期は未定。避難施設は新設の避難路沿いに整備する計画で、今後規模などを検討する。担当課は「整備エリアでは擁壁の撤去や谷を埋めるなどの造成が必要で、大きな予算がかかる事業となる。国の補助金を活用しながら早期に整備していきたい」と話している。