剪定枝から出来上がったバイオ炭

 梅の剪定枝(せんていし)を炭にするバイオ炭化事業に本格的に取り組もうと、みなべ町の梅生産農家有志や立命館大学、同志社大学の研究者が協力して調査を始めた。梅農家で廃棄に困っている剪定枝を炭にすることで、二酸化炭素削減、農家への炭の売却収入、炭を使った土壌改良などにつなげるのが狙い。16日には同町内の梅畑で剪定枝の発生量と炭の生産量を試験的に調べた。

 梅農家では剪定した枝は焼却処分するか放置。一部、炭にして土壌改良に活用している農家や団体もあるが、地域挙げて取り組むような事業にはなっていない。世界農業遺産認定の審査員を務めるなどみなべに以前から縁のある、同志社大学政策学部・総合政策科学研究科の大和田順子教授(63)や、町議をしている関係で大和田教授と知り合った梅農家の真造賢二さん(61)=東本庄=が意気投合。大和田教授は、昨年11月に設立された立命館大学の日本バイオ炭研究センターの研究員にもなっており、同センターで梅の剪定枝の炭化を研究することになった。

 今回、その予備調査として、真造さんの梅畑面積13㌃で剪定枝の発生量を確認。5カ月間乾燥させた重さ50㌔分の枝を、炭化機を使って燃やし、炭の生産量も調べた。出来た炭は手指よりも細いぐらいで、燃料として活用はできないが、土壌の保肥力や保水力向上、殺菌効果などがあるという。また、剪定枝の焼却や放置では二酸化炭素が発生するが、炭化することで二酸化炭素の発生量を抑制。国が温室効果ガスの排出削減・吸収量をクレジットとして認証する「J―クレジット」の活用や、内閣府の「SDGs未来都市」にもつながると期待されている。

 真造さんは「世界農業遺産の地域として、産地全体で責任ある取り組みが大切。バイオ炭を製造、販売、管理する法人も必要になる」、大和田さんは「梅の剪定枝のバイオ炭化はSDGsの大きな目玉となりうるものであり、未来都市の認定の可能性は十分にある」と話している。

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