戦死したB29搭乗兵の慰霊碑を前に法要

 田辺市龍神村殿原区の「連合軍戦没アメリカ将士之碑」で5日、太平洋戦争末期に同地区に墜落した米軍爆撃機B29搭乗兵の慰霊祭が行われ、地元区民ら約80人が参列した。

 B29は1945年5月5日、日本の戦闘機との空中戦で殿原地区の西ノ谷に墜落。搭乗兵11人のうち7人が死亡、生存した4人のうち3人が処刑され、1人は不明とされている。殿原の住民は戦時中にもかかわらず米兵を埋葬して供養する卒塔婆と十字架を建て、その年の6月9日に慰霊祭を執り行った。以後、惣大明神横に慰霊碑を建立、毎年慰霊祭を続けている。

 今年は4年ぶりに平常時の規模に戻しての開催。深瀬松視区長(76)は「79回目の慰霊祭。米兵の冥福とともに、ロシアのウクライナ侵攻のような戦争のない平和な世の中を祈りたい」とあいさつ。大応寺(同村東地区)の松本周和住職(75)が読経、参列者が焼香し、カトリック新宮・串本協会のジョー・ブロデリック神父(78)も祈りと讃美歌を捧げた。

 語り部の五味一平さん(45)=田辺市役所龍神教育事務所勤務=は慰霊祭の経緯を説明。当時小学校2年生で米軍機墜落の破片が飛ぶ中、姉とともに防空壕に逃げ込んだという地元郷土史研究家の古久保健さん(85)は「緊迫した国際情勢をみると怖くて仕方ない。戦争体験者が少なくなり、過去の戦争の中身が消えゆく中、平和の大切さをどう伝えていくか。終生、情熱を持って反戦を訴えていきたい」と誓った。

 会場では4年ぶりに地元女性会がタケノコの炊き込みご飯やおかゆを振る舞い、慰霊祭終了後には餅まきも行われた。

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