和歌山県立医科大は東京大などと共同で統合失調症・うつ病・双極性障害に関する研究を行い、これらの疾患に共通する「脳内大規模ネットワーク」間の異常を発見し、各疾患の精神症状と相関していると明らかにした。

 県立医科大と東京大の発表によると、人の認知機能は、機能的に接続された別々の脳の領域が共同して働く「脳内大規模ネットワーク」によって支えられている。精神疾患は、これらの脳のネットワーク間の機能的な結合の仕方に異常をきたしていると考えられている。

 研究は統合失調症・うつ病・双極性障害の3つの疾患における安静時機能的磁気共鳴画像の大規模データセットを用い、認知機能を構成する7つの脳内大規模ネットワーク間の因果性結合などを評価・比較した。その結果、動機付けや意思決定、記憶や言語処理に関係する「大脳辺縁ネットワーク」の自己抑制性の結合が、3疾患で共通して減少していることなどが明らかとなった。

 研究は因果性結合異常を明らかにした世界初の研究となる。県立医科大は今後、精神疾患における脳内大規模ネットワーク間の結合異常をさらに精密に検証することで、精神疾患の生物学的な病態基盤の解明を目指していきたいとしている。