コロナの感染対策が緩和され、訪日外国人観光客の回復などを受け、観光地がにぎわいを取り戻し始めている。宿泊施設からは「県のリフレッシュプラン(全国旅行支援)の効果でかなり回復した」という声が聞かれ、ゴールデンウイークの予約も順調。半面、団体ツアーの回復は鈍く、観光施設によって温度差もあるようだ。

 国内ではウィズコロナが加速しているほか、水際対策の緩和、国際便の増加などで外国人観光客も回復傾向。日本政府観光局(JNTO)によると、今年2月の訪日外国人客は147万5300人で、コロナ禍前の2019年2月の57%まで戻っているという。

 日高地方の宿泊、バス等の観光関係者によると、「コロナ前と比べ、仲間同士で観光する小規模の個人客の割合が増えているようだが、大型バスなどを利用する団体客の戻りは鈍い。感染リスクの低い野外施設は客足を伸ばしている」という。

 観光施設別では御坊市の野口オートキャンプ場は好調で、利用者数は昨年4月から今年2月までで1万4463人となり、すでに過去最高だった2019年度の年間利用者1万60人を上回った。昨年度1年間の9206人と比べても約1・5倍。みなべ町の国民宿舎紀州路みなべは「2、3月は宿泊客が伸び、宿泊に関してはコロナ前の9割程度に戻った。しかし、日帰りで楽しむ地元の宴会客らの利用はまだまだ少ない」という。

 日高川町の道成寺にはコロナ前に約16万人が訪れていたが、2020年から22年までの3年間は年間平均で2~3万人にまで減少。コロナ禍の3年間はほとんどなかった訪日外国人観光客の姿もみられ始めたが、参拝客数はコロナ前の水準までには至っていない。

 御坊市名田町の観光農園ひだかもコロナ前の年間1万3000~1万5000人のイチゴ狩りなどの体験観光客が訪れていたが、20年から22年までの3年間は2000~3000人に減少。ウィズコロナの動きが活発化する中、昨年秋ごろから旅行会社の問い合わせが増えたが、今年の見込みはコロナ前の3分の1程度の約5000人。原出幸典代表取締役(55)は「ようやく回復し始めた。来年にはコロナ前の水準に戻ってくれれば」と、本格的なアフターコロナに期待を寄せている。