植林地の伐採エリアに広葉樹の苗木を植える梅郷クラブメンバー

 みなべ町の若手農業者でつくるみなべ梅郷クラブがニホンミツバチ保護の一環として、スギやヒノキの植林地を多様な生物がすめる広葉樹の森に戻す新たな取り組みをスタートさせた。

 同クラブでは減少傾向にある梅の受粉に欠かせないニホンミツバチを増やそうと、2020年から巣箱の設置や、耕作放棄地にハチの蜜源となる広葉樹の植樹を行ってきたが、今回は植林地での植樹活動となる。

 場所は市井川地内の巨岩群「こもり岩」周辺の町有林(面積約20㌶)で、町はこれまで、2年間かけて大きく成長したスギやヒノキを伐採。「列状間伐」といって一定の間隔を空けて伐採しており、木がなくなったエリアに梅郷クラブが広葉樹を植樹。町は10年以上先に残るスギやヒノキを全て伐採する計画で、その頃には植えた広葉樹が自然に成長して広がってきており、植林地が広葉樹に生まれ変わるという。

 植樹活動は先月14日に行われ、クラブ員やニホンミツバチの保護活動に取り組むビーフォレスト・クラブみなべ百年の森、みなべ川森林組合のメンバーら計15人が参加。夏場の蜜源不足を解消するため、夏に花が咲くネズミモチ、リョウブ、ヒメシャラ、カクレミノなど6種を選んで、高さ約50㌢の苗木合わせて180本を植えた。

 プロジェクトリーダーの中井貴章さん(31)は「戦後の拡大造林政策として全国各地で大量にスギやヒノキが植えられた。日本全体のミツバチ減少の根本的な原因は広葉樹の蜜源不足と言われており、植林地を蜜源樹に変えていく必要がある。私たちの取り組みが全国のモデルケースになれば」と話している。