トルコ南部で6日に起こった大地震から4日が過ぎた。これまで2万人以上の死者が見つかり、生存率が急速に下がるとされる「発生から72時間」も経過。死者数はさらに増えるかもしれない。建物は粉々になり、がれきが散乱する現場での懸命な救助活動のニュース映像を見ると、心が締めつけられる。

 今回の地震で死者が拡大しているのは、発生が午前4時17分の未明だったこと、人口が多い地域だったこと、発生した断層ではマグニチュード7を超えるような地震は200年以上起きておらず意識が低かったためという見方もある。そして、街の建物の多くが脆弱な状態だったことも指摘されている。

 トルコでは99年に発生し、マグニチュード7・6、死者1万人を出した「イズミット地震」以降、耐震設計の義務化や建物安全措置を強化する建築法を改正するなど、対策も講じられてきた。しかし、建築法改正以降も基準を満たしていない施工や資材使用などの不良建築が引き続き行われており、今回の甚大な被害に影響したのではないかといわれているのだ。

 トルコは日本と同じく、世界でも最も地震が活発な地域。1900年からこれまで死者が出た地震は100件を超え、2017年には国の災害危機管理庁が「近年地震が異様に増えている」ということを、データを用いて明らかにしている。対策はいくらでもできたはずだったと思う。

 トルコとつながりが深く、巨大地震の発生も予想されている和歌山県民として、他人事とは考えたくない。今は義援金などできることをして、トルコの人々の無事と復興を祈りたい。(鞘)