2選を目指す現職籔内美和子候補(60)=浜ノ瀬・1期=と、返り咲きを狙う元職森下誠史候補(67)=三尾=が激しい一騎打ちを繰り広げる美浜町長選は、5日間の舌戦も11日限り。最終盤の情勢は、1期4年間の実績、県内唯一の女性首長、いち早い表明で前哨戦から先行してきた籔内候補が優勢だが、2期8年間首長を務めた経験と人脈で森下候補も追い上げ。最後の一日で籔内候補が差を広げるか、森下候補が底力で巻き返すか。最終盤の情勢を分析する。

 籔内候補は4年前の前回選挙で、新人ながら2677票を獲得して現職を511票差で破った。1期4年間、高校生までの医療費無料化など掲げた公約は、新型コロナで実現不可能だったこと以外はすべて実行し、ふるさと納税を飛躍的に伸ばして町の貯金に当たる財政調整基金を倍増させた手腕を高く評価する町民の支持を得て着実に集票。県内唯一の女性首長の活躍は、同じ女性層への支持も広めている。地盤である浜ノ瀬の結束力は強固で、出身地や後援会長のおひざ元、選挙事務所がある大票田和田をはじめ、4年間でできた人脈は全町に広がっている。告示後も、次期町政へ示した公約がじわじわと浸透しているほか、前回はなかった商工や建設、管工事関係の推薦も得るなど今回の選挙戦を優位に進めている。

 森下候補は正式表明が告示8日前と出遅れ、先行する現職を追いかける展開で前哨戦がスタート。差を縮めようと本人がフットワークの軽さを生かしてがむしゃらに町内を駆け回り、2期8年間の町長経験で培った人脈からじわじわと支持を拡大。友人や三尾へのⅠターン者が勝手連的に事務所に集まり、ムードは上昇。告示後は地盤の三尾をはじめ、後援会長の人柄で吉原などでも集票。バドミントン教室の教え子が十数年ぶりに激励に来てくれたり、無投票阻止を歓迎する無党派層の声援等を背に巻き返しを図っている。ただ、現職のときのような後援会組織や各種団体の推薦等はなく、表明から本番までの時間が短いことが最大のハンディとなっており、出遅れをどれだけ挽回できたかが勝敗の分かれ目となりそう。

 本紙が独自に行った有権者への街頭調査の結果からも籔内候補が優勢、森下候補が追撃する構図だが、約3割が投票先を「まだ決めていない」「言えない」と答えており、無関心層の取り込み次第で状況が変わる可能性もある。