修繕された本殿3社と前芝宮司

 県指定文化財(建造物)となっているみなべ町西本庄、須賀神社の本殿保存修理工事が完了した。3社ある本殿の檜皮葺(ひわだぶ)き屋根の葺き替えや極彩色の塗り替え、飾り金具の箔押し直しなど、116年ぶりに全面的に修繕し、朱色を基調とした優美な外観がよみがえった。来年3月には竣工奉祝祭を予定している。

 同神社は約1000年前、一条天皇の時代に京都の八坂神社から祇園の宮を勧請して、南部荘の総鎮守としたのが始まり。本殿は同じ形の3棟が横並びに建立されており、右から第一殿、第二殿、第三殿となっている。屋根は檜皮葺きで、外観は塗装、彩色、彫刻、金具で飾られており、1968年6月、県の文化財に指定された。

 保存修理事業計画は2019年2月からスタート、工事は昨年5月から第一殿と第二殿を同時に着手、その後第三殿で進めてきた。これまで本殿は江戸時代中期に再建されたと考えられてきたが、今回の修理で屋根の内側から建築年度が書かれた「墨書」などを発見。第一殿は1719年(享保4)、第二殿は20年、第三殿は21年に順次建て替えられ、いまから約300年前の建物であることも分かった。その後、本殿の修繕は10回以上行われたが、屋根の全面葺き替えや極彩色塗り替えなど大規模な工事は1906年以来。来年1月には熱感知の火災報知器も設置する。

 総事業費は約7800万円で、県と町の補助金、氏子らの寄付でまかなった。設計は県文化財センター、施工は谷上社寺工業株式会社(奈良県桜井市)。今回の本殿保存修理事業とは別に、神社内には石畳の参道も新設。南部川大工組合が玉垣の塗装や3カ所の鳥居を新調した。

 前芝弘知宮司(46)は「神社を修繕するとご神威が増すと言われますが、私自身それをすごく感じます。初詣でにはぜひそのご加護を授かっていただきたい」、硲恭弘総代長(77)は「たくさんのご寄付をいただき、隅々まで修復できました。これ以上ない喜びです」と話している。