コロナ禍前ならば、本紙は今日の10月6日付の新聞は毎年発行していない。理由はもちろん、10月5日が日高地方最大の御坊祭の本祭りの日だからである。新聞を発行しても、みんな祭りに参加していて新聞を配ってくれる人を確保できない、なんともほほえましい理由だ。地域の祭りで会社が休みになる、祭りがどれだけ盛んで、地域になくてはならないものかを物語っている。御坊に限らず、日高地方の多くの地域に祭り好きがたくさんいる。それが3年連続で神事のみという地域がほとんど。なんともさみしい限りであるが、コロナの感染防止となれば仕方ないと割り切るしかない。

 とはいえ自粛も3年目、このままでは次の世代につなげない、と危機感を持つ関係者も多い。地域の伝統を守るため、練習だけでもやろうと熱心に励んでいる地区もある。祭り好きにはうれしいことで、素晴らしいことだ。もちろん感染状況を注視しながら、対策を徹底した上でという条件付きだが、やれることをやろうする姿勢は見習う点が多い。ウイズコロナ、アフターコロナを見据えた、今できることの一つだと思う。

 心配なのは若者や子供の祭り離れが進んでしまうのではないかということ。ただでさえ少子高齢化、祭りに参加する若衆の人数減少や平均年齢の上昇はどの祭りも抱える課題だ。自分が動けるうちはと思っている中年以上の人も多いだろうが、やはり若者につないでいかなければ衰退してしまう。祭り離れを防ぐのは、熱気と活気にあふれる祭りを目の当たりにしてもらうしかない。当たり前だったものが当たり前でなくなったが、悲観しても仕方ない。来年こそは盛大にやれることを願うしかない。(片)