記者になった25年前、当時から地域活性化、まちづくりという言葉は盛んにいわれ、熱心に取り組む人や団体もたくさんいた。10数年前に担当していた印南町ではアイデアあふれるリーダーがいて、「いなみ」つながりで兵庫県稲美町の住民との交流もあったのが懐かしい。やりたい人がやりたいことをやる、今、日高地方の地域活性化の前線を走る「おんぱく」(御坊日高博覧会)に通じる活動だったように思う。さらにここ数年、地域を元気にする活動に多くの大学生が加わってくれていることが心強く、面白い。一昔前にはなかったことだ。

 和歌山大学をはじめ、授業の一環として地域に入り、そこにある課題を解決するためのプログラムを考える取り組みが増えている。京都外国語大学は国際貢献学部グローバル観光学科2年生が美浜町三尾に入り、地域住民と交流しながら地域が抱える課題解消につながるユニークな取り組みを自分たちで考え、リアルな事業計画として立案した。リモートで行われた発表会を聴かせてもらったが、テーマ別に分かれた5班の企画はどれもユニークで、しかも実現できそうなものばかりだったのが印象的だった。

 三尾特産のイセエビを使った伊勢海老ラーメン店の出店計画は非常に興味深かった。カナダ移民のまち三尾、日系カナダ人が三尾へルーツを探しにくる旅も増えている中、外国人観光客にも喜ばれそうな名物になりそう。ほかにも、土産物がないという課題に着目しトーテムポールの形をした新たな産品、増えている空き家を活用しながら自然体験イベントなど、外から見た、若者目線の指摘やアイデアは、地元の人に大きな刺激になっただろう。実現することを楽しみにしたい。 (片)