先月、日高川町と学校法人和歌山信愛女学院が学校教育・保育の質向上や地域の発展、人材育成を目的に連携協定を締結した。

 同町と和歌山信愛女学院は、2019年の信愛大学開設以来、町内で大学生がフィールド学習の実施などで連携し、教員を目指す学生が地域の教育や文化、特性、課題などに触れてきた。第一期生が卒業年度を迎えたことし、この協定で連携を更に強め、同法人の短大・大学等の教育実習や学校ボランティアなどを受け入れ、教育・研究の機会を提供するとともに、町の学校教育・保育の資質向上も図る。またインターンシップ等の就職支援も行い、将来的な若者定住につなげていく。締結式で森田登志子学長が「自然と人が豊かな日高川町での学習が、心を育てる経験の場となり、心を育てられる教育者へと成長できれば」と話していたのが印象的だった。

 協定締結後の8日には、今年度3度目のフィールド学習が行われ、学生が児童数10人で町内最少の笠松小学校を訪問し、複式学級の授業見学などを行った。引率してきた同大学教育学部の江口怜助教は「これからの教員は、学校や園の中だけでなく、地域とつながり、魅力や課題を理解した視点が必要。このフィールド学習は、地域とのつながりが体験できる機会」と話していた。幼稚園や小学校の教師を目指す学生たちがフィールド学習で時に真剣に、時に楽しく交流や体験する姿が生き生きとして素敵で、森田学長が期待する先生になってくれればと思った。

 高い志で教師になっても、世間では不祥事や送迎バスに置き去りなど保育・教育現場で悲しい事故が起こっている。地域と豊かな心でつながることができれば、このような事態が防げると信じたい。(陽)