左から近田さん、丸山さん、勝本さん、濱田さん

 JA紀州の第7回営農指導員研究活動成果発表大会が1日、御坊市のがいなポートで開かれ、15人が1年間の活動成果を発表。日高川営農販売センターの近田勝紀さん(36)が最優秀賞を受賞した。

 営農指導員の資質向上と地域農業の振興を目的に、組合員の所得向上や農業生産の拡大など営農指導業務に携わるJA職員が野菜、花、果樹などの調査、研究の活動成果を発表した。JAグループ和歌山、県農業試験場、県果樹試験場、日高振興局、JA紀州の役職員が、実用性、着眼点、データ性、発表力を審査。最優秀賞にミカンの害虫防除剤の試験結果をまとめた近田さんが決まり、日高営農販売センターの丸山兼吾さん(24)の「スプラサイド乳剤40に変わる代替え剤試験カミキリムシ編」が優秀賞、いなみ営農販売センターの勝本卓さん(27)の「ミニトマト『優糖星』産地における現地試験調査」が努力賞、日高川営農販売センターの濱田光弘さん(50)の「極早生温州(YN26)の日焼け果対策試験」が組合長特別賞を受賞した。

 近田さんは「スプラサイド乳剤40の代替え剤試験(カイガラムシ類編)」をテーマに発表。現在、柑橘類の幅広い害虫駆除に使用されているスプラサイド乳剤40が来年10月で製造中止、登録失効になることを受け、近年管内で問題になっているアカマルカイガラムシを対象に代替え剤の選定試験を行った。2カ所の畑で、ハッサクと温州ミカンに対して、スプラサイド乳剤40を含む有機リン系5剤を2回散布。無散布の木も合わせて幼虫、成虫の死亡や生存虫数を3回調査した。この結果と使用した5剤の価格もまとめ、「効力と薬剤単価など総合的に考えて、代替え薬剤はエルサン乳剤が妥当であると考えられる」とし、「他の病害虫との兼ね合いや費用対効果を考え、有機リン系以外の農薬の試験も引き続き検討していきたい」とまとめた。

 審査員からは、「現状に合った問題点に着目し、精度の高いデータと経費・経営などを考慮した組合員に寄り添った試験」と高く評価され、近田さんは「これからも生産者さんの収益アップを目標に、現場で役に立つ試験を続けていきたい」と話していた。
 今月中旬に和歌山市で開かれる県園芸技術員研究発表大会の果樹部門には近田さん、下旬に開かれる野菜・花き部門には勝本さんが出場する。