2019年4月、東京の池袋で高齢者が運転する車が暴走。松永莉子ちゃん(当時3)と母親の真菜さん(当時31)が死亡したほか、9人が重軽傷を負った池袋暴走事故。その大惨事から2年が経過した今月2日、東京地方裁判所は過失運転致死傷の罪に問われた飯塚幸三被告(90)に禁固5年の実刑判決を下した。裁判では操作ミスの有無が争点となったが、裁判長は「ブレーキペダルとアクセルペダルの踏み間違いによるもの。それは基本的な注意義務の1つであり、過失は重大」とした。

 一方、交通事故の死者数は年々減少している。警視庁の報告書によると、「事故戦争」と呼ばれた1970年は1万6765人の過去最多の犠牲者となったが、昨年は6分の1の2839人に減少。一昨年の3215人と比べても376人(11・7%)減り、初めて3000人を下回った。

 減少の要因は車の安全性能アップが挙げられ、エアバッグや自動ブレーキシステムなどの装備が大きく影響。シートベルト着用率も向上し、飲酒運転などの違反に対する規制が強化された。ほかには危険な道路の改善が進んだことも挙げられる。それでも、年間3000人近い尊い命が失われているのは事実。肉親を奪われた人たちの思いは一生晴れることはなく、誰しもが言い表しようのない感情に包まれてしまうことだろう。

 交通事故の発生は人為的なミス、車の故障、道路環境が要因となり得る。車の安全性、道路改善は以前と比べて大きく向上した。池袋暴走事件も操作誤りという判決だったが、人為的なミスによる事故が大半を占める。ハンドルを握った時は他人の命を奪う可能性をはらんでいることを肝に銘じなければならない。  (雄)