紀州日高漁業協同組合が2016年から由良町の戸津井と小引地区で収穫される海藻のアカモクを食品加工し、「紀州あかもく」として販売している。アカモクは北海道を除く日本各地の浅い海に分布。食用として用いられる地域もあるが、県内では今までほとんど食べられることはなかったという。長いものだと10㍍近くに成長し、船のスクリューに巻き付く厄介者扱いさえされてきた。

 しかし、食物繊維のフコイダンなどの成分が多く含まれ、免疫力アップ、整腸作用、美肌などに効果が期待される食材として脚光。近年は健康と美容に役立つスーパーフードとしてメディアなどに取り上げられるようになった。実際に「毎日食べている女性の肌がきれいになった」という話を耳にしたことがある。紀州日高漁協と近畿大学が共同開発した美容液「AKKYURA(アキュラ)」を手掛けたきっかけも、食品加工作業に携わっている漁協職員の手がツルツルと潤っていたことだった。

 食感はシャキシャキでネバネバ。味は癖がなく、いろんな料理に合う。先日、由良町、日高町、美浜町の小中学校の給食にも初めて登場し、みそ汁の具として使われた。子どもたちにも好評で、中にはすぐに飲み干しておかわりする姿も。しかし、一般の家庭の食卓に上がることは少なく、今後のPR活動が重要といえるだろう。

 「健康と美容」は現代社会のトレンドといえるキーワード。そういう意味では高いポテンシャルを持った素材。消費者の心をつかめば、大きな流通が期待できるかもしれない。ブランド化に向け、官民が一体となって取り組んでいく価値は十分にありそうだ。(雄)