日高川町と有田川町をまたぐ白馬山脈に計画されている風力発電事業「DREAM Wind和歌山有田川・日高川」の住民説明会が18日、日高川町川原河の山村開発センターで開かれた。当初、建設予定地では2つの事業主体の計画が重複していたが、両事業主体が共同して計画を一本化したことを報告。風力発電所11基、最大発電規模3万5070㌔㍗で、今後、環境アセスメントが順調に進めば2025年着工、27年運転開始を目指す。

 大和エネルギー株式会社(本社・大阪市)と電源開発株式会社(本店・東京都)が共同で進める風力発電計画。昨年7月、環境アセスメントの最初の手続きとなる計画段階環境配慮書作成の時には、大和エネルギーが計画する「DREAM Wind和歌山有田川・日高川」と、電源開発と住友林業株式会社が計画する「紀中ウインドファーム」の2つの事業の計画用地が重なる部分があった。9月には県知事と経済産業大臣から「事業の重複について十分な協議、調整を行うこと」との意見が付され、事業者間で協議。大和エネルギーと電源開発の2社が新たな合弁会社を設立し、事業を進めていくことになった。

 計画によると、日高川町の愛川区と上初湯川区、有田川町の宇井苔区と川合区の一部にまたがる白馬山脈の面積605㌶が事業区域。3200㌔㍗級の発電施設11基を建設し、年間発電量は約9200万㌔㍗(2万1000世帯分)。今回、環境アセスの2段階目となる環境影響評価準備書の作成に伴う住民説明会で、今後、騒音や水質、動物(クマタカ・ヤマネ含む)、植物、景観などの影響を調査し、23年に環境影響評価準備書、24年に同評価書を作成し、着工、運転開始の流れとなる。

 説明会には地元住民のほか海南市、紀美野町などからも合わせて約40人が参加。質疑応答では「県内で風力発電による健康被害が出ている。建設はやめていただきたい」「白馬山脈は砂の堆積でできており、大変崩れやすい。そこにスーパー林道もつくられ、がけ崩れが起きている。そんな場所に風力発電をつくるのか」などの反対意見や「狭い谷あいで音が反響してやかましいのでは」との心配があった。半面、地元区長の一人からは「原発は嫌だが、うちの区ではみんな風力発電に大賛成。しっかり進めてほしい」との声もあった。事業者側は「健康被害については立証されていない」「単に風力発電をするのではなく、周りの山と共生できる方法を考えたい」「騒音について十分調査したい」などと説明し、「風力発電は国の厳格な審査を受けて建設される。強引にするつもりはない」とした。

 白馬山脈にはすでに別事業所の「白馬ウインドファーム」「広川・日高川ウインドファーム」の2つの風力発電所があり、さらに現在建設中や今後進めていく別の計画もある。