12月に入り、テレビコマーシャルでは今年も人気グループ嵐を起用した年賀状のコマーシャルを目にするようになった。これを見て、「早く年賀状の準備をしないと」と焦る人も多いのだろう。

 筆者が年賀状を書き始めたのは小学生の頃で、十数人の同級生に干支の絵などを描いて出していた。近所に出すので、冬休みに入ってから書いても十分間に合い、楽しんで書いていた。

 日本郵政によると、年賀状発行枚数のピークは、2003年の約44億6000枚。以後減少傾向で20年用年賀はがきの発行は約24億4000万枚。そして、21年用年賀はがきの当初の発行枚数はさらに減り19億4198万枚と発表されている。新年のあいさつをSNSで済ます若い世代の年賀状離れや、「今年限りで年賀状を辞退します」という年賀状じまいが高齢者にとどまらず広がっている。年賀状印刷を請け負う弊社で、毎年作成してくれている団体も、今年限りで年賀状送付数を大幅に縮小するようだ。

 筆者も毎年、あわただしい年末に年賀状の作成時間が惜しく、SNSに切り替えたい考えもある。年に1度「今年は会いたいね」とお決まりのやり取りを繰り返す年賀状交換だけの関係に意味があるのかと疑問に感じ、逆に、だからこそ大切だと思い直して悩ましいところ。

 今年は新型コロナの影響で、会いたい人に会えなかったり、人との関係が希薄になったりしていることから、「今回は年賀状を出す」という声も多いという。新年のあいさつや、日頃の感謝、近況を伝えたいと思うことが本当の年賀状の姿。筆者は喪中につき今年は例外だが、伝えたい人に向け、小学生の頃のように「楽しんで書く年賀状」なら続けていきたいと思う。(陽)