会社とは離れた場所、例えば自宅や出張先、観光地などで仕事をするリモートワーク、テレワーク、ワーケーションなど。以前から仕事の効率化や従業員のリフレッシュ、モチベーションアップなどへ導入する企業があったが、新型コロナの感染拡大で一気に注目されるようになった。

 日高新報でも編集や営業の一部で導入を試みている。特に記者という仕事は本来、現場に出て取材をして、記事を書けばいいのだから、パソコンなどの通信機器がそろっていれば、リモートワークにはもってこいの職種だと言える。ところが、実際問題なかなかそうもいかない。例えば記者が個々にする特集の紙面製作は社内にある特殊なパソコンでする必要があるし、順番で回ってくる社内の掃除もあれば、新聞の配送業務もあり、会社にどうしても来なければならない。記者が記事を書くことだけに専念できる社内の態勢が整っていれば問題ないが、従業員数が少ない状態で回している中小企業ではなかなか難しい。

 細かいことを言うと、仕事で使うスマホの電話料金やパソコンの充電代をどうするのかという問題もある。また、記者がリモートする際には車の中でも記事を打つことになるが、車内の窮屈な場所で長時間いるのは結構な負担になるし、エコノミークラス症候群の恐れもある。そういったいろんなことを含めた福利厚生も必要。そもそも、国がリモートワークを推奨しているのだから、ガイドラインでも作成し、導入企業に対して優遇税制を設けるとか、補助金を出すとかの支援があってもいい。いずれにしても、記者が車内に長時間いる姿を見かけても、決してさぼっているわけではないことにご理解を。(吉)