筆者はビールが大好きで、毎日のように飲んでいる。仕事終わりの一口目は、なにものにもかえがたく、まさに至福のひとときを感じさせてくれる。しかし、子どもの頃に感じたビールの味はというと、「苦いだけで、甘みも味もない。なぜ、こんな飲み物を大人はおいしいというのか」という思いだけだった。大人になってもこの疑問は消えない。冷静に味わっても、おいしさの理由を説明するのは難しい。

 大人が苦いビールを美味しく感じるようになるのは、どうしてなのか。そこで、ネットで検索してみた。味覚には、甘味・塩味・酸味・苦味・うま味の5つがあるが、生まれたばかりの頃は「甘味」と「うま味」しかおいしいと感じないそうだ。理由は、「甘味」は母親のお腹の中にいる胎児を包んでいる羊水の組成に近い味。「うま味」は母乳に含まれるアミノ酸のほとんどが、うま味のもとの一つであるグルタミン酸だからという。酸味は腐っている、苦味に関しては毒が入っていると判断するという。そのため、生まれて間もない赤ちゃんに酸っぱい食べ物や苦い食べ物を与えると本能的に嫌がり、顔をしかめる。しかし、成長とともに経験を重ね、酸味や苦味が体に悪いものではないと学習し、さまざまな味が好きになっていくという。いろいろな味を経験するうちに、大人になってやっと『苦みのうまさ』が分かるようになるという。

 さらに苦味については、ストレスを感じるほどおいしく感じると言われている。「最近、特にビールがおいしくなった」というサラリーマンは、もしかしたら強いストレスを受けている可能性も。ちょっと注意しなければならないかも。(雄)