昨年10月1日の消費税率10%への引き上げに伴う国のキャッシュレス・消費者還元事業が、今月末で終了する。消費者がQRコードやクレジットカードなどのキャッシュレス決済で買い物をすれば5%または2%がポイントで還元される仕組み。全国的にはキャッシュレス決済ができる店として、約115万店が参加し、今年3月末までの決済額は約8兆円にのぼった。2019年の消費者のキャッシュレス決済の普及率は26・8%で、前年比2・7ポイント増。還元事業が国民へのキャッシュレス普及に一定の成果を上げた形で、政府が掲げる25年までに普及率40%も視野に入ってきた。

 ところが日本は海外と比べると、まだまだ遅れている。世界で最もキャッシュレスが進んでいるのは韓国で、少し古いデータだが、2016年時点ですでに96%を超えている。次いで中国60%、シンガポール58%などとなっている。韓国がどうしてキャッシュレス普及率が高いかというと、政府が①所得控除(年末の源泉徴収時に還付)②宝くじ参加券付与③年商240万円以上の店舗にキャッシュレス決済義務化――の政策を行ったから。中でも宝くじ参加券付与では1000円以上の買い物をすればレシートに宝くじの抽選番号が記載され、毎月1回の抽選で1億8000万円が当たるというもので、なかなかおもしろいと思った。

 新型コロナウイルスの感染予防対策が重要視される中、現金受け渡しの必要がないキャッシュレス決済は感染予防の有効な手段でもある。いまこそ日本でもキャッシュレス決済に大々的な特典を付けて、普及率アップにつなげる時ではないだろうか。(吉)