新型コロナウイルス感染拡大の影響で、地方移住を検討する人が増えているという。なぜだろうか。

 NHKニュースによると、移住を支援する団体では4月以降、移住の相談が1割ほど増えていて、多くが新型コロナをきっかけに検討を始めたという。家族のために人口が多く感染リスクが高い都会を離れたいのはもちろんのことだが、テレワークなどを試してみた結果、出社しなくても仕事が続けられるとのめどがついた。会社を辞めなくても地方に移り住み、いまの仕事ができるので生活の心配も少なくなり、移住のハードルを大きく下げて検討を後押ししているとみられている。

 先日、テレビで株式会社ニトリの創業者で会長の似鳥昭雄氏が「今までが異常と分かった。(リモート会議にすれば)海外出張しなくても商品開発ができる」と話していた。以前は海外の生産拠点に自身がたびたび出向いていたが、コロナ禍以降は取りやめ。それでも特に支障はなく、当たり前と思っていたことの異常性に気づいたそうだ。移住希望者も今、毎日満員電車に揺られて長い時間かけて会社に行くことに疑問を持つのは、ある意味正常な感覚であろう。

 ちなみに、移住者受け入れを早くから積極的に進めている日高川町の担当課に尋ねたところ、まだ新型コロナの影響で移住した人や問い合わせが一気に増えたということはないらしいが、今後、ニュースのような傾向になる可能性は高い。移住者を受け入れたいと考えるなら一刻も早くニーズに合った準備を終わらせる必要があると思う。都会から移住者を呼び込むチャンスは到来しており、禍転じて福となすためにスタートを切らなければならない。(賀)