新型コロナウイルス感染拡大に伴い、4月初旬から臨時休業していたNPO法人日ノ岬・アメリカ村(小薮清信理事長)が管理する三尾の3施設が5日、営業を再開した。カナダミュージアムでは休業前から整備を進めていたカナダガーデンが出来上がり、季節の花が2カ月ぶりの来客を出迎えている。

 営業を再開したのはカナダミュージアム、アメリカ村食堂すてぶすとん、ゲストハウス遊心庵の3施設。県が往来自粛を要請している5都道県(東京、埼玉、神奈川、千葉、北海道)からの受け入れは見合わせている。

 三尾の移民の歴史や文化を伝えるカナダミュージアムでは、休業前から建物南に「カナダガーデン」の整備を進めていた。地域住民から花の苗の提供を受け、花壇で育て、庭の中央にはカナダの国旗に使われているサトウカエデを植えた。ウッドデッキやベンチも設置し、奥の一角には1951年に日ノ岬に建てられた二代目「紀伊日ノ御埼灯台」のレンズも展示されている。

 レンズは三代目の灯台完成後、第五管区海上保安部が地元に寄贈。灯台のレンズは全国に愛好家がいるが、その大きさや美しさはマニアでなくても楽しめる。

 芝生を張った庭は、根が定着するまでは立ち入り禁止となっていていたが、休業中に準備が整った。現在はサツキやアジサイなどがかわいらしい花を咲かせ、久しぶりの客を出迎えている。同ミュージアムのカフェメニューはテイクアウトも可能で、庭でくつろぎながら飲食もできる。

 三尾たかえ館長は「営業を再開したからといっても感染対策は必要で、多くのお客さんに来てくださいといえない状況に戸惑いもありますが、少しずつ活動できればと思います。カナダガーデンは屋外ですし、地域の憩いの場として立ち寄っていただければ」と話していた。

 アメリカ村食堂すてぶすとんでは、新たにワンコイン(500円)のテイクアウト弁当の販売を開始。コロナ禍を乗り越え、再スタートを切った。

写真=芝や花が美しいカナダガーデン