日高地方の教育旅行誘致等の取り組みを広げようと、日高振興局で18日、体験型観光や教育旅行誘致事業の関係者を対象とした研修会が開かれた。一般社団法人南紀州交流公社(白浜町)の奥山沢美理事長らを講師に迎え、15年前の団体発足から町の合併、法人設立を経て、現在の県内最大の教育旅行受け入れ団体となるまでの苦労などを聞いた。

 2004年10月、合併前の旧日置川町で地域活性化を目的とした官民一体のまちづくり協議会「大好き日置川の会」が発足。個人会員36人、農協や関西電力など13の団体会員で活動がスタートした。2年目には351人を受け入れ、5年目からは宿泊対応も含め1000人を超え、17年には関東からの教育旅行など5117人を受け入れるまでに成長。海外からは台湾、韓国、中国、ニュージーランド、インドネシアなどから高校生や大学生を受け入れている。

 生徒らの宿泊は会員宅の民泊で、食事は地産地消にこだわり、地元の食材を使った田舎料理や郷土料理を提供。体験メニューはアウトドアが磯釣りや渓流釣り、カヌー、炭焼きなど、インドアは藍染め、こんにゃく作り、梅ジャム作りなどがあり、食中毒予防や新メニュー開発の研修については「旅行会社からお客さんを紹介してもらうには信頼が最も重要。そのためにも各種研修は定期的にしっかりやっています」と強調した。

 今後については、宿泊人数が大きい関東からの教育旅行の受け入れが大きな目標とし、「私たちも高齢化で民泊家庭は減少傾向にあるが、まだまだお願いしていない家庭はたくさんある。一度に300人、400人の生徒を受け入れるには、広域的に連携しなければ絶対に無理。長崎県や長野県など先進的な事例を参考にしながら、これからも山を一つ一つ乗り越えていきたい」と語った。

 今回の研修会は日高振興局地域振興部が主催し、教育旅行や体験観光の受け入れを行っている日高川町のゆめ倶楽部21、印南町のかえるの宿のほか、おんぱくの実行委員や市町の観光担当職員ら約50人が参加。日高地方でも大規模な教育旅行の受け入れを目標とし、広域連携の動きがみられ、参加者からは宿泊料金と公社の取り分、民泊協力家庭の増やし方、簡易宿泊施設としての認可が必要なのかといった質問があった。

写真=教育旅行誘致事業について語る奥山理事長