南部高校は、食の安全や環境保全に取り組む農場に与えられるJGAP(ジェイギャップ)の認証を取得した。地域の特産品である「梅」を対象品目とし、県内の高校では初めての取得。食と農園科の生徒と教諭が1年間取り組んだ成果で、作業時の安全確保、環境への配慮など約120項目の基準をすべてクリアし、日本一の梅のブランド力アップに一役買いそうだ。

 JGAPは、農林水産省が推奨する農業生産工程管理手法の一つ。「適切に管理されている農業で、安全な農産物を提供している」とのお墨付きとなり、2020年東京オリンピック・パラリンピックの選手村で使われる食材の調達条件にもなっている。県内では3企業がキャベツ、ミカン、マッシュルームで認証を取得しており、南部高校は4件目。

 同校の農場には約10㌃の南高梅の園地があり、年間約3㌧の青梅をJAや市場等に出荷している。「日本一の梅の産地だからこそ、梅の認証を日本で一番に取ろう」と、昨年からいち早く取り組みをスタート。減農薬、農薬の使用記録の徹底、倉庫内での収穫物と機材の保管区域の差別化といった衛生管理、脚立の転倒防止や草刈り機の取り扱いなど生徒への安全な作業指導も含め、細分化された約120の審査基準を一つ一つクリアした。ことし1月には審査員が同校を訪れて公開審査会が開かれ、9項目の改善点を見直した上で再び審査を受け、認証が決まった。

 同農場でJGAP認証に取り組んだ谷口和久教諭は、「昔ながらの農業ではなく、より安全で衛生的な作業工程といった新しい観点で持続可能な農業を、生徒たちに指導していきたい。ここで栽培した梅がオリンピック・パラリンピックの選手村で食材として使われればうれしいですね」と話している。

写真=南部高校の梅栽培農場で認証を手に谷口教諭