英国のEU離脱は、メイ首相がEUとの間でまとめた協定案が議会でことごとく否決され、合意なき離脱となってしまうのか、再度の長期延期が認められるのか、はたまた国民投票をやり直すのか、こじれにこじれている。

 かつては「太陽が沈まない国」と呼ばれるほど世界中に植民地を広げ、インド、カナダ、オーストラリア、南アフリカなどの宗主国として君臨した。その大英帝国がいま、EU28カ国から脱落しかけているようにも見える。

 同じ島国の英国と日本は、いろんな面でよく似ている。明治維新後の日本は英国が憧れ、目標であり、近代国家のモデルとして立憲君主制、議院内閣制を取り入れた。また、騎士道と武士道の共通点からか、どちらの国民も謙虚さを美徳とする。

 さらにいえば、英国はフランスと仲が悪く、昔から何度も戦争を繰り返してきた。日本も隣のあの国とは1000年以上、どうしても仲よくなれない。この溝をどう乗り越えるかについて、日本は英国に見習うべき点が多いのかもしれない。

 日本は改正出入国管理法が施行され、今後5年間に最大約34万人の外国人労働者が日本に入ってくる。期間は最長5年、さらに一定の試験に合格すれば永住が認められ、この実質的な移民拡大をしっかりコントロールできるかが課題である。

 英国はこの移民の受け入れの是非が、EU離脱議論のきっかけになったともいわれている。日本と同様、社会保障費が増大、不況が続くなか、難民、移民のために税金が使われ、仕事を奪われるぐらいなら、いっそEUなんか離脱してしまえ――ということか。

 英国の現状は私たちの近未来の風刺画のよう。日本人はこの騒ぎを注視し、よく考えねばならない。(静)