1970年代後半、家庭用のビデオデッキが登場し、80年半ばから一般家庭にも急速に広まった。2000年以降、データの記録媒体はDVDへとかわり、VHSのカセットテープはいまや絶滅状態となった。

 ビデオデッキはテレビ番組を録画し、好きな番組をいつでも見ることができるのが魔法のように感じた。この驚きと感動はレンタルビデオ店の出現でさらに大きくなり、デッキの普及を強く後押しした。

 洋画のホラーが好きなある作家は当時、夏目漱石が柳家小さんの名人芸に感動、「同時代に生きる喜び」を感じたように、いつでも何度でも、ジェイソンの恐怖を味わえる「ビデオ時代に生きる幸せ」を語っていた。

 映画や音楽と同様、車の楽しみ方も時代とともに変化している。以前は好きな音楽を聴きながら走るドライブが最高のぜいたくだったが、テレビやDVD、Bluetoothもセットとなったカーナビの登場により、移動だけが目的ではなくなってきた。

 都会では複数の人が特定の車を共有するカーシェアリングの人気が高まっている。24時間いつでも借りることができ、レンタカーより安く、ガソリン代もいらない。10~15分単位の短時間利用も可能で、仕事や買い物に数百円で借りられる。

 この安さと気軽さから、あまり運転しない人には車を買うより経済的という話。達人になれば、車を借りても走らせず、空きスペースに止めて食事をしたり昼寝をしたり、読書や仕事の個室として利用するために借りる人も増えているという。

 音楽を聴きながらスマホを充電、自分に合ったエアコン温度で食事もできる。家族で買い物に出かける休日、駐車場で自分の時間を過ごすお父さんも多いのでは。(静)