日高町中央公民館主催の文化講演会が4日に同館で開かれ、一般ら約130人が来場。講師に動物ものまね4代目江戸家猫八の長男・江戸家小猫さん(41)を迎えて、「病に学んだ芸の道~楽しく生きる三つのコツ~」をテーマに聴いた。

 小猫さんは伝統のお家芸の指笛を使ったウグイス、口笛でのスズムシ、コオロギなどの見事な鳴きまねを披露し、会場から大きな拍手。曽祖父から続く江戸屋の家系やものまねが寄席の「色物」と呼ばれることなどを説明したあと、自身が18歳の時に「ネフローゼ症候群」と呼ばれる、たんぱく質が尿に出る難病にかかったことを紹介。ステロイドの薬による副作用で背骨が折れて身長が167㌢から161㌢に縮んだり、歩けなかったりしたことや症状の再発を繰り返したことなど、12年間に及ぶ苦しい闘病生活について語った。その上で、「父の後を継ぐのはもう無理だと思ったが、自分で無理だと言ってしまうと可能性がゼロになる。何かチャレンジする時は病気のせいにしちゃいけない」とし、「31歳で立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科に入り、修士論文を書いていた時期、父の小猫が猫八を襲名し、私は舞台の手伝いにも忙しかった。ある舞台では親子共演の機会があり、私は自分に『そのうち小猫』という名前を付けた。もうすぐ小猫でもなく、まもなく小猫でもない。そのうちというのは、私の心の揺らぎが出ているが、舞台に立った瞬間、『やっぱり面白い』と感じた。不思議なことに再発を繰り返していた病気がふっと去っていった」などと述べた。その後、2011年3月に小猫を無事襲名し、「闘病生活を通じて、『相変わらずでいられることの幸せ』を感じた。それともう一つ、生きるということは、人の時間をいただくこと。病気の時は父や母が私のために時間を使ってくれた。例えば誰かとお茶や食事する時、その人も私と同じだけの時間を使ってくれている。そういった人との縁に感謝し、大切にしたい」と締めくくった。来場者は笑いあり、感動ありの講演に熱心に耳を傾けていた。

写真=「病気のせいにしてはいけない」と小猫さん