高校球児が甲子園に憧れるように、高校サッカーでは多くの選手が年末年始に行われる選手権大会出場を大きな目標にしている。高校野球は全国大会に出場すれば甲子園球場でプレーできるが、高校サッカーの場合、聖地・国立競技場のピッチに立てるのは準決勝以上の4チームのみ。まさに選ばれし選手たちだけが経験できる夢舞台を目指し、ことしも全国各地で予選が始まっている。和歌山県予選は26日から開幕。上位は実力伯仲で、頂点に立って全国大会に出場するチームはどこか、楽しみだ。

 日高地方からは日高、紀央館、和歌山南陵の3校が出場する。昨年は南部、和高専も参戦し5校の出場だったのでことしは寂しい限りだが、その分、3校が盛り上げてくれることに期待したい。ことしで97回を迎える歴史の古い大会の中で、実は日高地方の学校が全国大会に出場したことはいまだにない。ここ20年間で県予選を制したのは初芝橋本、近大和歌山、和歌山北の3校しかない。強豪の一角を崩すシーンを見たい、そんな思いを持つ地元ファンはたくさんいる。

 日高地方も小学生サッカーは盛んで、能力の高い選手はたくさんいるが、中学でサッカーができる環境は減る。和歌山市や田辺市のクラブチームに所属する選手は増え、高校ではさらに進学先がばらける。小学生のプレーを見ていて、「この子たちが高校でも一緒の学校に集まってプレーしたら面白いのに」という声はいまだに根強い。まず中学世代の受け皿を広げる仕組みが必要だろうし、小中高の選手たちが一緒に練習する環境があっても面白い。勝ち負けがすべてではないが、地元勢が優勝争いに加わればサッカー人口増にもつながるだろう。(片)