御坊に落ち延びて命を助けられた会津藩士の山川浩と、旧小松原村の中野家が150年前に交流を深めていた逸話は昨年から多くの人の知るところとなり、心温まる話は何度聞いても気持ちがいい。去る16日には会津若松市の室井照平市長が和歌山市の会合に参加した合間を縫って、御坊まで足を運んで柏木征夫市長に、山川ゆかりの品の寄贈を受けたことに礼を述べた。わずか10分程度の懇談だったが、室井市長の気さくで律儀な人柄が伝わるには十分な時間で、今後、交流が深まっていくことが感じ取れた。150年前の縁とはいえ、またネット社会の中であっても、こうした人と人の触れ合いから新たな交流が始まり、深まっていくのだとあらためて感じた。
 人の触れ合いや出会いをテーマに1か月間開催された御坊日高博覧会が、終了した。4年目のことしも昨年とほぼ同じ2000人余りの人が参加して大好評だったことを考えると、おんぱくが地域に浸透した表れで、安定期に入ったといえるだろう。来年は過去最高の70プログラム、30おんぱくレストランを目標に掲げているほか、期間限定ではなく年中参加できるプログラムを商品化して観光振興につなげる取り組みも始める。まだまだ伸びる要素のあるイベントだと思うと楽しみだ。
 おんぱく結果報告資料によると、ことし新たにパートナーとなったのは16人。第1回は32人、2回は28人、3回目22人で、合計98人を発掘していることがおんぱくの一番の成果だと思う。人こそが魅力であり、地域資源であることは、おんぱくや、150年前の会津と御坊の交流からも見て取れる。地域づくりは人づくりから。おんぱくの果たしている役割は大きい。(片)