日本の大学院に留学しているアフリカの若者7人が26・27日にインターンシップの一環でみなべ町を訪れ、基幹産業の梅について学習した。初日には西本庄の農家を訪問し、梅干しを試食。「思っていたほど酸っぱくないが、塩辛い」など、苦笑いしながらも日本古来の味に興味を示し、農家に積極的に質問していた。
 独立行政法人国際協力機構(JICA)が実施主体となり、アフリカの若者に日本の大学や企業で学び、仕事を体験する機会を提供する産業人材育成事業「ABEイニシアティブ事業」の一環。
 今回の参加者はウガンダ、エリトリア、ナイジェリア、ニジェール、南アフリカ共和国の5カ国から7人。来日期間は1~2年で、普段は留学生として関西、中部、九州などの大学院に通っている。
 一行は26日にみなべ町を訪れ、最初にうめ振興館で県政策企画班の林祐光主査が梅システムや梅の栽培方法などについて説明。館内の資料も見学し、梅の歴史などについて学んだ。続いて西本庄の梅農家、畑野正之さん(33)宅に移動。梅干しの生産方法などの説明を受け、梅の天日干し風景を見学した。白干しの梅干しの試食体験では、一口食べて苦笑いしたりする姿もみられたが、梅シロップの試飲は「甘さがちょうど良くて、とてもおいしい」などと好評で、「水で薄めずにそのままの味を確かめてみたい」というリクエストも。梅干しや梅ジュースに興味を示し、「どれぐらいなら保存できるのか」などと質問が上がっていた。梅干しの販売についても「特に消費が低迷している年齢層の若者にターゲットを当てて梅の魅力をPRすればどうか」「梅干しの種を抜いてチョコレートで包んだような商品を開発すれば売れないだろうか」「健康にいいというキャッチフレーズを付けて売り込めるのではないか」など次々とアイデアを提供していた。
 27日には晩稲の㈱紀州ほそ川、気佐藤のミナベ加工㈱の2社も訪問した。ナイジェリア出身のノンソ・リチャード・オケチュクさん(38)は「梅が文化や暮らしに根付いていると感じた。たくさんの人が来るミュージアム(うめ振興館)でPRするという仕組みにも感心した。代表的な果実を広めて地域を潤すというアイデアは、私の母国のナイジェリアでも生かすことができるのではないか」と話していた。
 インターンシップは25日から29日までで、25日には紀陽銀行(和歌山市)、くじらの博物館(太地町)を訪問した。28日には新日鐵住金和歌山製鐵所(和歌山市)、島津製作所(同)を見学、29日には県庁を訪問する。