みなべ町東本庄の県うめ研究所は、早期に収穫でき環境ストレスに強いなどの特徴を持つ梅の新品種開発に取り組んでいる。現在は複数の品種を交配させ、環境ストレス耐性が期待できる224個体、安定生産が見込める35個体をそれぞれ絞り込んだ。今後は栽培に取りかかり、結実した果実などを検証して新品種の候補にする。
 早期に収穫できる青梅用品種の古城は高い単価で販売できる半面、自家受粉できない自家不和合性で生産量が不安定というネックがある。加えて近年は地球温暖化に伴う気候の変化、梅干し消費量の減少、生産者の高齢化などの課題もあり、新たな付加価値を持った品種の育成が求められているという。このため、同研究所では多様なニーズに応えようと平成25年度から新品種の研究を開始。早生で豊産性、環境ストレス耐性、高い機能性成分含量などを育種目標として取り組んでいる。
 これまでに複数の品種を用いて交配を繰り返し、実生苗859個体を獲得。その中から自家和合性(自分の花粉で結実できる性質)が期待できる224個体を選抜したほか、一定期間のかん水を停止させるストレス試験を実施して乾燥ストレス耐性が期待できる35個体をそれぞれ絞り込んだ。また、観賞用品種の「雲竜梅」を南高の台木に用いると背丈の低い樹体ができることを発見。収穫や剪定作業などの省力化に期待できるという。 
 今後は選抜した個体の育成に取りかかり、樹体特性や果実特性を調査して有望な系統を新品種候補とする方針。同研究所は「新品種の開発は順調に進んでも5年程度かかるが、高単価や作業効率が良い新しい梅の品種を開発して地域の梅産業に貢献していきたい」と話している。同研究所ではこれまでに「NK14」「橙高」の2つを品種登録している。