「世界津波の日」のように国際デーではないが、国内にもさまざまな記念日や国民に意識高揚を求める日が制定されている。あす2月7日は何の日かご存じだろうか。正解は「北方領土の日」。恥ずかしながら筆者も初めて知ったのが2年ほど前。制定されたのは昭和56年なので、もう35年になる。なぜ2月7日かというと、1855年のこの日、伊豆の下田で「日魯(ろ)通好条約」が調印され、日本とロシアの国境が定められた。北方四島が日本の領土として初めて国際的に明確になった日なのだ。
 日本固有の領土であるはずの択捉島、国後島、色丹島、歯舞群島の北方四島は先の大戦後ロシアに占拠されて70年が経つ。昭和20年8月9日、当時のソ連は日ソ中立条約を一方的に破棄し、8月下旬から9月にかけて北方四島に上陸、占拠した。故郷を追われた島民の思いは、国民の北方領土返還要求運動としてしっかり受け継がれている。ただ、世代が若くなればなるほどこのような歴史を知らない人が増えてきているのも現状。絶対に風化させてはいけない。
 4日には北方領土返還要求県民大会が御坊で開かれた。主催者や来賓があいさつで口にしたのは、やはり次の世代にしっかり受け継いでいくことの必要性だった。戦後70年が過ぎ、戦争体験者が年々少なくなっていくのと同じ、北方四島の歴史を知る人も少なくなっていく。そんな中で県から派遣されて北海道を訪れ、北方四島について学んできた松洋中の生徒が発表で「勉強したことを多くの人に広めたい」と心強いメッセージを発信してくれた。自分たちの領土を守っていく、この気持ちは日本人としていつまでも忘れてはならない。(片)