昨年暮れ、高校野球の名門・龍谷大平安(京都府)で頑張っている地元出身の2人を取材させてもらった。そのうちの1人はマネジャーを務める。1年生の冬、左ひざを故障。夏前に復帰も新チームになって選手の道を断念し、マネジャーに専念するようになった。
 高校野球のマネジャーといえば、選手たちのユニフォームなどを洗濯したり飲み物などを用意したりと〝裏方〟としてのイメージが強いが、龍谷大平安ではそういったことは選手一人一人が自分で行うそうで他に役割がある。試合中のスコアラーをはじめ、対戦相手の分析、部員71人分の体力測定結果のデータ管理、それに対戦相手の監督らの案内役などで、特に対戦相手の分析、部員の体力データ管理などはチームの勝敗に大きく関係する重要な仕事。これらを男子マネジャー2人で担当しているという。多くの声援を受けてプレーする選手たちと違い、ほとんど注目されない。だが、「対戦相手の監督らと最初に会うことになるので、マネジャーはチームの顔と思っています。チームとして、いい印象を与えられるように頑張っていきたい」と話し、全力でチームへ貢献することを誓っていた。
 2年前の夏の甲子園の出場校で、2年間で2万個のおにぎりを作って選手たちに食べさせたという女子マネジャーが話題になったことも思い出した。高校野球だけではない。どんなところでも華やかな舞台があれば、それを陰で支える人たちが必ず存在するものだ。龍谷大平安は今春のセンバツ出場が確実視される。滋賀県で開催された近畿大会の取材の際にはメンバー表の記録員に気づけなかったが、この春の甲子園では縁の下の力持ちにも注目したい。 (賀)