備長炭(白炭)の生産量日本一を誇っていた和歌山県が、昨年の生産量が高知県に抜かれ、2位に転落したことが分かった。平成元年は2531㌧だったが、昨年は半分以下の1144㌧に減少。一方、高知は年々増加し、1225㌧で81㌧差を付けられた。梅と並んで特産物として売り出しているみなべ町も、26年度は前年度に比べ微減となっている。
 年間生産量が2500㌧を超えていた平成元年当時の製炭者数は503人だったが、15年には186人に減り、生産量も1675㌧と3割以上減少した。その後、製炭者は180人前後で推移。生産量は21年までほぼ横ばい状態だったが、23年に1261㌧、24年に1226㌧、25年に1135㌧と徐々に減っている。要因の一つに原木の減少が挙げられ、県林業振興課は「原木自体はあるが、伐採しやすい場所には少なく、備長炭をつくるのに適した太さの木も少ない」と話している。製炭者の高齢化もあり、「炭焼きを希望するIターン者が増えているが、『1人前になるのに10年かかる』ともいわれる。半面、熟練した炭焼きがあまりいなくなり、効率的に炭を焼ける技術者が減少した」という。
 一方、高知県では企業製炭がみられ、生産量を伸ばしている。平成21年には631㌧だったが、22年に674㌧、23年に728㌧、24年に908㌧、25年に1130㌧と増加しながら推移。製炭者は21年の82人から26年は43人に減少したにもかかわらず、大きな炭窯で工業的に焼いて生産量を増加させている。県林業振興課では「昨年は高知県の生産量が1位だったが、高知県でも原木が不足しているという。県では紀州備長炭を振興させるため、すべての原木を切ってしまう皆伐ではなく、細い木は残す択伐方式を勧めている。技術マニュアルも作成した」と話している。
 備長炭を特産として売り出しているみなべ町の生産量は、県内では日高川町、田辺市に次いで3番目。同町産業課によると、平成26年度は217㌧で前年度の222㌧より微減した。「原木不足や製炭者の高齢化が影響しているのではないか」と話している。