日高郡町村会(会長・小谷芳正みなべ町長)の定例会が10日に振興局であり、県から移住・定住大作戦の移住推進市町村の指定を受けるよう協力依頼があった。日高地方の指定は現行で日高川と由良の2町だけ。指定を受けるためには、役場に相談窓口の開設と地元住民の受け入れ協議会の設立が条件となるため、なかなか進んでいないが、指定を受ければ県から移住者への奨励金や空き家改修補助金が受けられるメリットがあり、地方創生で人口対策が重要視される中、態勢づくりが急務となりそう。
 移住推進市町村は現在、県内で17市町村。うち日高地方では日高川町が19年度から指定を受けて以来、相談(電話の問い合わせも含む)1238件、空き家などの案内655件で、実際に定住したのは80世帯137人にものぼる。相談窓口の「ワンストップパーソン」として同町企画政策課内に職員を配置。地元受け入れ協議会はゆめ倶楽部21が務めている。一方、由良町は24年度に指定を受け、相談39件、案内2件となっているが、まだ定住にはつながっていない。ワンストップパーソンは同町総務政策課内に配置。地元受け入れ協議会は同町区長会となっている。
 日高地方の他市町で指定が進んでいないのは、人員削減をしている中での職員配置が難しいことや地元の受け入れ協議会の設立が進まないことなどが要因とみられるが、指定を受けた場合のメリットは大きい。具体的には▽40歳未満の若年移住者に奨励金(最大250万円)▽現地体験会の開催▽移住希望者の現地滞在費の2分の1助成▽東京・大阪の相談窓口やUIJターンフェアでのPR▽空き家の家財道具撤去助成(10万円)▽空き家改修補助金(80万円)▽県定住支援住宅管理機構の空き家バンク管理運営▽移住者起業補助金(上限100万円)▽移住者農林水産就業補助金(上限50万円)――。定例会では日高振興局の岡本敏秀局長が「和歌山県の人口対策として他市町にも移住推進市町村を拡大していきたいと考えている。ぜひ協力を」と呼びかけた。