印南町が、印南地内の高台にある上野山農村公園に建設を計画している印南避難センターの起工式が4日、現地で行われた。町や施工業者、地元区関係者ら約20人が工事の安全を祈願。将来高い確率で発生すると予測されている大地震・津波に備えた一時避難施設で、来年1月の完成を目指している。
 起工式では、日裏勝己町長、施工の㈱千代徳組(印南)の久堀徳次代表、設計の㈱寺前則彦設計室(西ノ地)の久岡政弘代表が刈り初めやくわ入れなどし、玉串をささげた。最後は出席者全員でお神酒をいただき、工事の安全を祈った。建設に当たり、日裏町長は「地震・津波対策は急務の事業で、以前から念願だった避難センターが着工できることをうれしく思います。これからどんな災害が起こるか分かりませんが、住民の皆さんに有効に活用していただければと思っています」と話している。
 センターの建設地は、想定されている津波高15㍍より高い海抜27㍍の高台。施設は鉄骨2階建てで、敷地面積は829平方㍍。トイレ、炊事場のほか、複数の和室を設ける。非常食糧や飲料水を備蓄する倉庫も備え、発電機など防災器具も用意する。事業費は約8000万円。
 対象となるのは浜、地方などの住民や印南小学校児童など約1000人。用途はあくまで一時的な避難所で、波が引き安全が確保されたあとは公民館など各地域で指定されている避難施設へ移動する。高台の上野山への避難については昨年1月に、印南小学校の西側に長さ約50㍍の階段を設置し、スムーズに避難できるようになっており、センターが完成することで避難直後の生活の場を確保できるようになる。