「ワン・チャイルド、ワン・ティーチャー、ワン・ブック、アンド・ワン・ペン――キャン・チェンジ・ザ・ワールド」。昨年ノーベル平和賞を受賞したパキスタンの少女、マララ・ユスフザイさんの国連でのスピーチである
 
 世界に教育の必要性を訴えていたあの凛と鋭い声は、いまでも耳に残っている。そこには聞く人の心をまっすぐに打つ、強靭な意志の力があった。同時代を生きる同世代の少年少女達の心にも、その声はまっすぐに届いていたのだろう
 2月に開かれた御坊ライオンズクラブ主催の子ども暗唱大会でも、先日御坊市民文化会館で開かれた「少年メッセージ2015日高地方大会」でも、マララさんに関する発表があった。少年メッセージ優秀賞の1人、塩崎優衣さん(中津中2年)は「人前で話すのが苦手だったが、マララさんから強い心を学んだ」と、自身の夢を大きな声で発表していた
 筆者も中学生の時、人前で話すのが大の苦手だった。読書感想文を全校生徒の前で読むことになったが、その場を早くやり過ごそうなどという気持ちで臨んだため、案の定、友人達には「早すぎて何を言うてるか全然分からんかった」と言われた。冷や汗の出るような思い出である
 残念ながら、今でも人前で話すようなことは苦手なままだ。それはそれでいいと思ってきたが、今回中学生20人の発表を聞くと、目の前にいる人々に思いが伝わるように努力しよう、という真摯さが伝わってくるようで圧倒された。自身を省みては反省しきりである
 マララさんのスピーチも、言葉そのものの力に加え、あの気迫のこもった表情と凛とした声が世界中の人々の心を打ったのだ。柔軟な心で感動から学び「伝える力」を育ててゆく中学生達に、教えられた思いの一日だった。     (里)