県は8日、まち・ひと・しごと創生総合戦略本部の第5回会議を開き、長期人口ビジョンと県版総合戦略を策定した。将来人口は高齢者1人を現役世代2人が支える形を目標とし、45年後の2060年の人口目標は70万人に設定。その実現に向け、総合戦略は雇用の創出、少子化のストップ、安全・安心な暮らしの実現―など5つの基本目標を立て、今後5年間のそれぞれの具体的施策と数値目標を掲げている。
 県の人口は1985年(昭和60年)の約109万人をピークに減少に転じ、10年後の1995年には経済対策に伴う公共投資の増加や阪神淡路大震災の影響等から一時的な増加があったものの、その後は減少が続いている。ことし4月1日現在の推計人口は約96万6000人で、戦後間もないころと同じ程度にまで減少。これまでの人口推移を基に、国立社会保障・人口問題研究所が設定した傾向が続くと仮定し、なんの対策も講じなければ、2040年には70万人程度、いまから45年後の2060年には2010年の約半分の50万人程度まで激減すると予想される。
 また、県の試算では2060年の65歳以上人口は42%にまで上昇し、一般に働き手とされる15~64歳の現役世代1人で1人の高齢者を支えなければならなくなる。少子高齢化を伴った人口減少は地域経済、医療、教育などさまざまな分野で悪影響を及ぼすため、県は高齢者1人を現役世代2人が支える社会を目指し、今回の人口ビジョンではあるべき将来人口を「2060年でおおむね70万人」と定めた。
 同時に策定した県版総合戦略(平成27~31年度)では、長期人口ビジョンの目標を達成するため、▽安定した雇用の創出▽少子化を食い止める―など5つの基本目標を設定。雇用は県内企業の成長力強化、たくましい農林水産業の創出、観光の振興などで5年間に4000人の雇用を確保し、移住・定住作戦や企業誘致、県立医科大への薬学部新設などにより、直近5年間の転出超過累計数を今後5年間で半減させる。少子化対策では、婚活支援や妊娠・出産・子育てを支える医療と環境の整備を進め、合計特殊出生率(1人の女性が一生に産む子どもの推定数)を現在の1.55から5年後には1.80まで引き上げ、さらに2030年には人口を維持できる2.07まで上昇させるとしている。
 仁坂吉伸知事は今回の人口ビジョンと総合戦略策定にあたり、「合計特殊出生率を15年後に2.07まで上げるというのも、現状からすればかなりの努力が必要だが、決して非現実的な数字ではない。今後は市町村がそれぞれの総合戦略を策定することになるが、各市町村は民間とも連携しながら、流行に流されることなく、地域の特色を生かした戦略を考えてもらいたい」と述べた。