県が印南町高串地内で進めていた切目川ダム建設工事は28日、現地で竣工式が行われ、関係者をはじめ周辺住民ら約300人が出席。仁坂吉伸知事は周辺の国道整備や下流の河川整備の進捗状況を説明し「これで水害被害はなくなる。周辺道路も整備が進むので、地域を皆さんで盛り上げましょう」と呼びかけ、テープカットやくす玉開き、餅まきなどで完成を祝った。
 県や町関係者、国会議員、県議、用地協力者、地元児童、生徒、一般住民らが出席。最初に清流小学校児童75人と清流中学校生徒31人がそれぞれの校歌を披露。仁坂知事は民主党政権による脱ダム時について「当時はダムを進めるのは悪いことという風潮が広がったが、私は動じませんでした。それは渇水、洪水に悩まされている地域のことと、ダムを切望する皆さんがいることをわかっていたからです」と振り返り、「下流では河川改修も進んでいますので、これで水害被害はなくなります。真妻地域にはわさびや千両など素晴らしい産物があり、これから盛り上げていきましょう」と式辞。日裏勝己印南町長は「この日を迎えることができたのは地権者や地元関係者をはじめ多くの皆さまのおかげ。このダムを私たちの安全と誇りの象徴として後世へ末永く引き継いでいきたい」とあいさつ。鶴保庸介参議、坂本登県議会議長らも祝辞、二階俊博代議士はビデオメッセージを寄せた。最後には堀口晴生印南町議会議長発声で万歳三唱を行った。
 式典後、印南町消防団第3分団、第4分団の団員がダム本体から放水。ダムからいくつもの水柱が上がる中、仁坂知事や清流小、中の児童、生徒代表者らがテープカットとくす玉開き、バルーンリリースを行った。最後は餅まきがあり、仁坂知事や日裏町長がまく餅に大歓声が響いていた。出席者の1人でダム湖となった高串地区の最後の区長、堀清宏さん(67)は「これまでのことを考えると感慨深いものがあります。これからはダムにしっかり頑張ってもらい、下流を守ってほしいです」と話している。