第44回日本農業賞の集団組織の部で優秀賞を受賞したJA紀州のみなべいなみ花き部会(池田晃会長)、第16回全国果樹技術・経営コンクールで農林水産省生産局長賞を受けた同JAのみなべいなみ梅部会(有本義宣会長)の表彰状伝達式が27日、みなべ町のJA紀州アグリセンターみなべで行われた。ともに品質の向上や環境への負荷を軽減した農業に取り組んでいることが評価され、両部会とも産地の発展へさらなる技術の向上を誓った。
 日本農業賞の花き部会は、スターチスやカスミソウなどの栽培農家96戸で構成。「『はな・ひと・環境』にやさしい花作り」をスローガンに出荷までの工程をマニュアル化し、切り花にストレスを与えない作業を実践。水の入った箱を使うバケット輸送を行っており、作業の効率化と品質向上、環境負荷の低減を実現している。自分たちの栽培を記録して定期的なデータ報告、第三者による監査も受け、花の鮮度を保つ試験も行うなど積極的な取り組みが評価された。
 梅部会は1663戸の栽培農家で組織し、全国の梅生産量の25%を供給している。トップブランド南高梅の一大産地で、園地ごとに農薬使用履歴等を入力するトレーサビリティーシステムを全国に先駆けて導入したほか、農薬残留分析など安全安心な梅の生産に取り組んでいる。各地の消費者を現地に招く「梅もぎ体験ツアー」や女性部会員らでつくる「梅愛隊」が全国各地に出向いて食べ方や健康機能性、加工方法などをPRする食育活動も展開し、消費拡大とブランド力の強化を続けている。
 伝達式には花き部会の池田会長、眞田和典副会長、山本茂春会計、梅部会の有本会長、上野章副会長が出席。それぞれ賞状などを受け取った。池田会長は「部会を支えてくれた先輩や生産者がいい品を作ろうとしてくれたおかげ。これからも賞に恥じぬよう、それぞれが農業経営の向上に努め、後継者を育成し、JAと力を合わせていい産地をつくっていきたい」、有本会長も「表彰式に出席していたほかの果樹産地に比べて団体規模や出荷量など突出しており、全国から認められる部会なんだとあらためて感じた。いまは青梅の販売が苦戦しているが、梅は日本食文化の代表の一つで、打開策はあると思っている。県農やJAの指導を受けて生産者のグレードアップを図っていきたい」とそれぞれ決意を述べた。最後に芝光洋専務が「梅も花も、地域が一つになって取り組んだ成果。これからも地域を盛り上げ、産地を大きくしていこう」と激励した。