御坊市内寺内町のシンボルといえる横町の中川家邸宅改修工事は、一部畳の張り替えや周辺整備を残してほぼ完成し、かつて「日高御殿」と称された風情ある木造建築の外観が姿を現した。今後は室内のギャラリーに展示物を置くなど準備が整い次第、2月中にもオープン。見学は自由で、寺内町散策コースの目玉になると期待されている。
 中川家邸宅は、敷地面積約320坪、延べ床面積150坪の市内最大の住宅。昭和10年、当時1000円で一般住宅が建てられた時代に10万円の巨費と5年もの工期をかけて建築された。しかし、ここ30年以上空き家だったこともあって、大阪在住の所有者としては管理が困難となってきたため、更地にしようと計画。これを知った御坊まちづくり委員会(野村義夫会長)が、寺内町観光の一環で古い建物の保存を訴え、買い手を探したところ、県福祉事業団が趣旨に賛同し、購入した経緯がある。
 敷地内で改修が行われている住居部分は、外観や柱を当時のままに復元。室内にはいまでは入手が難しいとされるケヤキの一枚板を使った床、趣きあるタイル張りの台所や立派な応接室があり、まるで昭和初期にタイムスリップしたような雰囲気となっている。1階には障害者の芸術作品などのギャラリーも設けている。茶室もあることから、愛好家らの茶会の受け入れも考えている。基本的に見学は自由で、トイレも利用できる。
 敷地内では倉庫をリフォームして昨年7月に食事処「なかがわ」が一足早くオープン。本格的な手打ちそばなどが楽しめるとあって人気。福祉事業団では障害者の就労の場としても活用している。