オレオレ詐欺や架空請求詐欺などの特殊詐欺被害額が、平成26年は約500億円と過去最高を記録したという。テレビや新聞でも注意を呼びかけたり犯罪事例を紹介したりしているが、一向に効果は見られない。では、一体どうすれば被害を減らせるのか。犯人を捕まえるだけでなく、一人一人がウソを見破り、騙されないようにすることが重要だ。
 先日の由良町商工会経営セミナーでは、元刑事を招いて「人を見抜くテクニック」をテーマにした講演が行われた。元刑事は、専門家の研究から人間の動作で信用できる順番は①自律神経信号(汗をかく等)②下肢信号(脚の動き)③体幹(姿勢)④見分けられない手振り(微妙な手の動き)⑤見分けられる手振り(意図的な手の動き)⑥表情(顔)⑦言語││と紹介。つまり言葉が一番信用できないと説明していた。
 特殊詐欺の場合は、電話で犯人と接することがほとんど。一番信用できない言葉だけで〝プロ〟を相手にしなければならない。こんなときは一方的に相手の話を聴くのではなく「質問する」のが効果的という。相手の反応を確かめられるし、何より一時的にでもこちらに主導権を移せるというメリットがある。例えば子どもからの電話の場合。違和感を感じたら「昨日も電話くれたよね」と質問すると決めておくだけで、相手の返事がイエスかノーかで真偽の判断ができ、騙されないようにするための一つの対策ではないかと思う。
 犯罪者はあの手この手を使ってお金を騙し取ろうとする。騙す人がいるなら、騙されないように自己防衛策を身につけておかなければ泣きを見る。とくに被害者の9割を占める高齢者の方は日ごろから対策を考えておいてほしいと思う。    (賀)