先月10日、俳優の高倉健が亡くなった。筆者が初めて〝健さん〟の映画を観たのは確か昭和30~40年代だった。母方の祖母が映画ファンで、しょっちゅう松原通りのグランド劇場へ連れて行ってくれた。当時の筆者はまだ小学生だったので、映画のストーリーや俳優などはほとんど関心がなく、ただ映画館にある売店が目当てだったように思う。
 あの頃は映画の全盛期だった。御坊市内にはグランド劇場のほか、元町に老松座、日吉通りに日吉座、中町3丁目に中央劇場があり、東映の〝健さん〟や大映の勝新太郎、市川雷蔵が観たけりゃグランド、東宝の加山雄三や松竹の渥美清なら老松座、日活の石原裕次郎や小林旭は日吉座で上映されていた。中央劇場は唯一外国映画専門だったので、中学生ぐらいになってからよく観に行った記憶がある。007シリーズや西部劇はハラハラドキドキしながら観たのを思い出す。
 とにかくあの頃は商店街に活気があった。映画館のほかにバーや食堂、喫茶店、洋品店など、ひしめくほどではなかったが賑わっていた。それが今、シャッター街になって久しい。商店街の活性化対策については商工会議所をはじめとする関係団体がいろいろと事業やイベントをやってはいるが、これといった効果は表れていない。こうなると、期待されるのは新しいアイデアと実行力のある人の出現。
 幸い来年は選挙イヤーで、御坊市議選も行われる。映画の中で、健さんが登場すると観客の中から「待ってました! 健さん」の声が飛んだが、来年の選挙でも「待ってました! 〇〇さん」といわれるような候補者がどんどん出て来ることを期待したい。   (高)