印南町出身で、現在、東京の会社に勤務している不動産鑑定士古田高士さん(33)が、実家のある同町印南原に日高地方初の不動産鑑定事業所「中紀不動産総合コンサルティング」を開設。来年夏には印南地内に事務所をオープンする。不動産鑑定士は司法試験などと並ぶ三大国家試験といわれ、古田さんは早稲田大大学院在学中にMBA(経営管理学修士)を取得。三菱商事など大手不動産ファンドでの投資実績もある。
 不動産鑑定士とは、不動産の経済価値に関する高度専門家で、一般にはなじみが薄いものの、司法試験、公認会計士と並ぶ三大国家試験といわれ、最終合格率は約2%。鑑定は田畑や山林、一般住宅、更地はもちろん、オフィスや商業施設、レジャー施設、ため池なども対象とし、機械や船舶の動産、固定資産税の路線価システムなど、いわゆる資産といわれるものはすべて評価の対象となる。現在、全国で約5700人が登録されているが、ほとんどは東京、大阪の大都市に集中。和歌山県内は25人、日高地方は古田さんただ1人となっている。
 古田さんは日高高校普通科を卒業して立命館大経済学部経済学科に進み、卒業後は不動産開発の㈱大京(本社東京)に就職。不動産鑑定士資格を取得し、仕事をしながら早稲田大大学院ファイナンス研究科に学び、MBAの学位を授与された。
 その後、民間最大手の鑑定会社である㈱谷澤総合鑑定所に入社し、国内外の鑑定評価業務のほか、JALの再生に関する不動産評価や社会保険庁の入札案件の資産査定等を実施。海外の大手不動産ファンド、セキュアード・キャピタル・インベストメントや国内の三菱商事で1500億円以上の不動産投資も手がけた。
 古田さんは「今後もしばらくは東京を拠点として、東京と和歌山を行ったり来たりの生活になりますが、将来的には地元印南に戻って仕事をしたいと思っています。不動産をどう利用すれば経済価値が上がるのか、弁護士や税理士の方とも連携しながら、商店街や地域の活性化にも貢献できれば」と話している。