仕事でも勉強でもうまくいかないときが続くと、逆のやり方をすればいいと頭を切り替えて取り組むことを心がけている。逆の発想、行動、即ちだれもがあまり思いつかない、やっていないことには宝の山がある。そんな教えをどこかで聞いたことがあるからだ。ほとんどの人がびっくりした年末の衆院解散、総選挙。これにもどこかにそういう発想があったのかもしれない。
 25日付の中央紙では、安倍晋三首相が解散、総選挙を決断したことについての世論調査結果が出ていた。解散を決断したことについて「適切だと思わない」との回答が72・2%もあり、「適切だ」の22・8%を大幅に上回ったという結果だった。この年末の忙しい時期。それに庶民の暮らしには一向に明るい兆しが見えないし、経済の状態も思わしくない。そんな中での選挙なんて、多くの人が適切でないと感じるのは当たり前であろう。
 安倍首相の、みんなの思いつかないことをやる先にある宝の山とはいったいなんだろうか。政権をがっちり維持することが最重要だとしか思えない。国民生活なんてそっちのけの感が、解散を「適切だとは思わない」との世論調査結果にはっきりと表れているのではないだろうか。
 衆院の定数削減はじめ子育て支援、高齢者対策など、国民が取り組んでほしいと訴えていることは、遅々として進まない状況。反対に、この解散以外にも国民が望まない増税などは選挙の審判を経なくてもどんどん進められたりもしている。こういう政治家の逆の行動はいいはずがない。突然の師走の総選挙を前に、もっと国民と同じ目線でいられる人たちが当選し、政権を担ってくれることを期待している。   (賀)