先日、日高高校附属中学校(上田優人校長)で行われた出前授業を取材した。講師は京都ノートルダム女子大学心理学部の松島るみ准教授で、テーマは「記憶力を高めるために」。ちょっとした工夫で記憶力を高める方法を紹介し、興味深かった。
 記憶力の実験では最初に「眠い男が 水差しを持っていた」「優しい男が ミルクを開けた」など、似たような文面で特に意味のない5つの文章がモニターに映し出され、数秒間で覚えるというもの。画面が消えた後「優しい男」は何をしたなどと問題が出される。似たような文章でなかなか覚えられない生徒が多い中、松島准教授が前の文と後ろの文の間に別の文章を加える方法をアドバイス。「優しい男が ミルクを開けた」の場合は、間に「泣いている赤ん坊のために」などと加える。一見、覚える文字数が増えるのだが、文に意味を持たすことで、以前より覚えやすくなる。次の実験ではペアの5種類の画像を覚える。似たような画像なのでどれがどのペアか一見難しいのだが、こちらも意味付けで解決。たとえば「楕円(だえん)」と「2本の棒」があれば、「お箸で卵を食べる」などと自分で意味を補足することで覚えられる。
 このほか年齢に応じた記憶方法があることを紹介し、生徒たちに丸暗記をせず、意味付けて覚える方法を勧めた。簡単な工夫で記憶力が大幅に向上するので、生徒だけでなく筆者も十分勉強になった。ただよく思い出せば、同じ授業が昨年もあった。昨年も同じ内容の話を聞いていたのだが、筆者の記憶からすっかり消えていた。せっかくのいい話も「なるほど」と納得するだけで満足していれば身に付かない。日々の生活での実践が大切だ。    (城)