御坊市介護保険事業計画策定委員会が20日に財部会館で開かれ、第6期介護保険事業計画(平成27~29年度)に盛り込む保険料案を承認した。それによると基準月額は5983円で、現行に比べ543円(約1割)の引き上げ。事務局の試算では基準月額6000円台という案も提示されたが、保険料余剰金を積み立てた介護給付費準備基金の残高6000万円を全額投入して、引き上げ幅を抑制する案が採用された。
 事務局の説明によると、御坊市の人口減少、要介護(支援)認定者数や介護サービス利用の増加、第1号被保険者の負担割合が法改正で現行21%から22%へアップなどに伴って保険料の引き上げが余議なくされる。次期保険料の算定要件をみると、27~29年度までの介護給付見込み額は合計75億6173万3704円、地域支援事業費1億8000万円、第1号被保険者の総計は2万2011人、保険料収納率見込みは98.5%となっており、これらを基に事務局が次期保険料を試算。基準月額については①介護給付費準備基金の投入ゼロの場合6238円②同基金のうち3000万円投入の場合6111円③同基金の6000万円全額投入の場合5983円――の3パターンが提示された。委員は「あるものは全部使ったらいい」「準備基金がゼロになれば、制度として運営が厳しいことを国にアピールできる」「将来、制度が変わることに期待しよう」などの意見が多かった。準備基金が底をついた場合は、さらに次の保険料算定の時に引き上げ幅を抑制するという柔軟な対応が取れず、大幅引き上げの恐れもあるが、介護保険計画に盛り込む介護予防の取り組みなどで介護サービスの利用を減らすことができれば、保険料の引き上げ抑制につながるとの期待もある。こういったことから最終的に挙手の賛成多数で同基金全額投入のパターンを採用することが決まった。ただ、委員は保険料の値上げに不満があるものの、現行制度では「容認やむなし」との考えが多かった。保険料案については事務局から「国の正式な算定基準がまだ示されていないため、あくまで試算。今後、増減する可能性がある」と強調していた。現行で、県内の保険料をみると、御坊市は平均的な金額。日高地方で最も高いのは美浜町の5720円となっている。今後、次期保険料の算定で他の自治体も引き上げの方向になっていくと予想されている。ちなみに現行で保険料の負担率は所得などに応じて6段階までだが、次期計画では9段階に細分化され、うち基準月額と呼ばれるのは第5段階の「課税世帯で本人非課税、合計所得80万円以上」の人が支払う保険料となる。
 委員会では来年2月までに計画の原案をまとめ、保険料改定などを盛り込んだ条例改正は3月議会で上程する。