安倍晋三首相が21日の衆院解散を表明し、総選挙が12月2日公示、14日投開票の日程で行われることになったのを受け、本県でも選挙ムードが高まってきた。和歌山3区(定数1)では、自民党現職の二階俊博氏(75)=御坊市島、当選10回=が「常在戦場」を合言葉にすでに臨戦態勢。また、共産党は18日、党県書記長の原矢寸久氏(63)=白浜町=の擁立を発表。このまま一騎打ちで選挙戦に突入する公算が大きくなっている。
 今回の衆院解散、総選挙は、与党が消費税率の10%への引き上げを1年半延期することやアベノミクスの効果について国民の信を問うのが狙いで、目標議席数は自民、公明党合わせて過半数(238議席)を掲げている。対して野党が「大義のない解散。アベノミクスは失敗」などと、安倍政権の〝失政〟を厳しく追及し、議席増を目指す。
 和歌山3区では、旧運輸、経済産業大臣、自民党役員などを歴任し、現在も総務会長を務めるベテランの二階氏が「自民党圧勝へ全力投球したい」と意気込んでいる。一方、原氏は党新人となるが、国政への出馬は衆参合わせて8回目で、「消費増税10%の中止」などを訴える。党関係者によると、沖縄県知事選でアメリカ軍普天間基地移設計画に反対した翁長雄志知事が誕生したことを受け、「風は共産党にある」として、今回は特に力が入っているという。他の野党は突然の解散風で準備期間が短かったこともあって、候補者擁立が難しいとみられ、いまのところ出馬予定はこの2人だけ。ただ、小選挙区制が導入された平成8年10月の総選挙以降、和歌山3区では一騎打ちとなったのが平成15年11月の1回だけ。ほか5回の選挙は、民主党や旧日本維新の会、幸福実現党の候補者が出馬して三つどもえの戦いとなった経緯があり、予断を許さない。
 本県では、巨大地震・津波対策、農林水産業振興、経済活性化、人口減少対策などさまざまな課題はあるが、大きな争点はなさそう。また、13日に告示し、30日投開票となる知事選に続く総選挙。保守系の現職と共産党推薦の新人との一騎打ちとなっている知事選とよく似た構図で、相次ぐ選挙で有権者の関心が高まるどころか、師走選挙ということもあって逆に投票率の低下が懸念されている。
 衆院小選挙区の区割り改正法案が昨年成立したことで、これまで和歌山3区だった有田市が2区に編入され、今回の総選挙から適用される。